アトピーの人が遅延型フードアレルギー検査を受ける意味はあるのか

遅延型フードアレルギーというものがあります。アレルゲンとなる食べ物を食べてすぐに症状が出る一般的な食物アレルギー(即時型アレルギー)と違い、半日~数日後に症状が出るアレルギーでIgG抗体が関連していると言われています。

最近はテレビで「隠れアレルギー」といった呼び方で取り上げられることもあり、知名度が上がってきています。

私も過去に2度、遅延型フードアレルギー検査を受けたことがあります。

ですが、結論から言うと、アトピーの人が遅延型アレルギー検査を受けても意味がない(アトピー改善にはつながらない)と私は考えます。

「遅延型フードアレルギー検査で反応が出た食べ物を除去すれば症状が改善する」と思っている人も多いようですが(テレビでもそう取り上げられることが多いですが)、そうとも限りません。

逆に、除去食をすることでよりいっそう不健康になってしまう可能性があるので、注意が必要です

今回は、アトピーの私が遅延型フードアレルギー検査を受けた体験談と、遅延型フードアレルギー検査を受ける意味について考えを述べたいと思います。

遅延型フードアレルギー検査を受けた体験談

私が初めて遅延型フードアレルギー検査を受けたのは、8年前のことになります。

私はアトピーだけでなく、うつ病や原因不明の腹痛など、長年様々な体の不調に悩まされてきました。そんな時この遅延型フードアレルギー検査の存在を知り、体調不良を改善するヒントが見つかるかもしれない、と思って受けてみることにしました。

遅延型フードアレルギー検査は一部の病院でも受けられますが、キットを購入して自宅でお簡単に検査を受けることができます。

私もネットでキットを購入して検査を受けました。その結果がこちらです。

どの食物にも全体的に高いアレルギー反応が出ています。特に乳製品、卵、小麦が高めです。一般的にはレベル3以上のものを除去するとよいと言われているようですが、私の場合はレベル3以上のものが多すぎて除去は不可能でした。

このアレルギー検査の3年後に再び受けてみた結果がこちらです。

3年前に受けたときと比べて、全体的に数値がずいぶん下がっています。しかし、乳製品、卵、小麦については依然としてレベル3以上です。

ネット上でいろいろな人の検査結果を見たのですが、私と同じような項目(卵、乳製品、小麦)に反応が出ている人が多い印象でした。「だれが検査を受けても同じような結果が出るのではないか?」との疑いを持ちました。

ちなみに私は、これらの食物を食べるのを避けても、あまりアトピーの症状に変わりはありませんでした。

遅延型フードアレルギー検査の結果が示すもの

アレルギー学会で否定されているIgG抗体検査

遅延型フードアレルギー検査は、血液中のIgG抗体を調べる検査です。実は、日本、アメリカ、ヨーロッパのアレルギー学会が「このIgG抗体の検査結果は、全然意味ないよ!」という見解を出しています

米国や欧州のアレルギー学会および日本小児アレルギー学会では、食物アレルギーにおけるIgG抗体の診断的有用性を公式に否定しています。

その理由として、以下のように記載されています。

すなわち、①食物抗原特異的IgG抗体は食物アレルギーのない健常な人にも存在する抗体である。②食物アレルギー確定診断としての負荷試験の結果と一致しない。③血清中のIgG抗体のレベルは単に食物の摂取量に比例しているだけである。④よって、このIgG抗体検査結果を根拠として原因食品を診断し、陽性の場合に食物除去を指導すると、原因ではない食品まで除去となり、多品目に及ぶ場合は健康被害を招くおそれもある。

以上により、日本アレルギー学会は日本小児アレルギー学会の注意喚起を支持し、食物抗原特異的IgG抗体検査を食物アレルギーの原因食品の診断法としては推奨しないことを学会の見解として発表いたします。

血中食物抗原特異的IgG抗体検査に関する注意喚起より

ここに書かれている通り、IgG抗体レベルが高いからと言って症状が出るわけではありませんし、IgG検査結果に対する科学的根拠は何もないのが実情です。

さらに、一番問題なのは、この検査結果に基づいて本来必要のない除去食をすることで、かえって栄養バランスが崩れて健康を害する恐れがある、ということです。

実際に、このIgG抗体の遅延型アレルギー検査結果を信じて多くの食べ物を除去した結果、かえって体調を悪化させる人は結構いるようです。

このように、公式には否定されている遅延型フードアレルギー検査ですが、なぜこの遅延型フードアレルギー検査をすすめる人たちがたくさんいるのでしょうか?

純粋にIgG検査の結果を信じている少数の医師や個人が周りに広めたり、検査をビジネスとしてお金もうけに利用する企業がいるためではないかと思います。

「販売代理店が日本小児アレルギー学会の展示会に出展を申し込んできたが、われわれの趣旨と合わないので断った」と学会幹部。「欧米で商売しにくくなって日本を狙っているのでは」といぶかる専門家もいる。(中略)アレルギー専門医の間では極めて評判が悪く、扱うのは自然療法を行う医者などに多い。

週刊ダイヤモンド2014年2/15号より

IgG検査結果は腸内環境の乱れを示す?

先ほど、「IgG検査の結果は意味がなく、除去食はかえって健康を害するかも」という話をしましたが、IgG検査結果をこんな風に利用している医者もいるということで付け加えておきます。

通常はこの検査結果を見て、アレルギー反応のある食材を控えるように指導されたり、食材の完全除去療法が推奨されたりすることが多いですが、遅延型フードアレルギーはあくまで腸内環境が乱れている結果であることを正しく認識することがとても重要です。

(中略)

この検査を行うと、アレルゲン(アレルギーの原因物質)として、卵、乳製品、小麦が要請に出ることが多くあります。実はこれらの食材は腸内環境が乱れ消化酵素が減少しているときに、アミノ酸に分解されにくい食材なのです。腸内の環境がきっちり整い、消化酵素がしっかりと分泌され、腸管の粘膜がしっかりと防波堤の役割をはたしていれば、これらの食材が血液中に漏れ出ることはありません。つまり、卵や乳製品、小麦自体がアレルギーの原因というよりも、これらの食材がきっちりと分解され栄養素としてしっかり吸収される条件が整っていないことがアレルギー反応を引き起こす原因になっているのです。

小西康弘著「自己治癒力を高める医療実践編」より

小西先生によると、遅延型フードアレルギー検査で高い数値が出たからといって除去食をする必要はなく、腸内環境を改善することで検査結果は改善される、と主張されています。

私の検査データも、1度目に受けたときは多くの食べ物に高い反応が出ていましたが、2度目に受けたときは全体的に数値が激減していました。小西先生の理論によると、これは腸内環境が改善した結果だと読み解けそうです。

まとめ

遅延型アレルギー検査を受けてみようと思っているアトピーの人もいるかもしれませんが、受ける必要はないと思います。検査を受けたからといってアトピー改善につながるわけではありません。

私は2度も受けてしまいましたが、これを読んでいるあなたは、私のように無駄にお金を払う必要はありません。

それよりも、毎日食事日記をつけて、何を食べるとかゆみが強くなるかを自分で分析したほうが、よっぽど有意義でアトピー改善の役に立ちます。