「油を断てばアトピーはここまで治る」を読んだ感想

こちらの本、おそらく日本中に数多くあるアトピー本の中で、もっともよく売れている本ではないでしょうか。

下関市立市民病院小児科の永田良隆先生が書かれた本で、2006年に発売されてから10年以上経った今でも売れ続け、Amazonレビューの評価も高いです。

ずいぶん前に買って読んだのですが、今改めて読み返してみて思った感想を書いてみます。

アトピーの原因

植物油と動物性たんぱく質

細胞膜に過剰に蓄積した植物油の成分、それがアレルギー体質の正体です。また、必要以上にとり過ぎた植物油は体内からあふれ出し、皮脂膜を通して皮膚表面に排出されます。そして、これがかゆみ、湿疹の元になります。

植物油がアトピーを悪化させるということは、いろいろな専門家の先生が主張されていますし、科学的根拠もある事実です。

もう一つ、体をアレルギー体質にして、アトピーを治らなくしている原因があります。それは、「動物性たんぱく質の取りすぎ」です。

永田先生は、アトピーの二大原因は「植物油と動物性たんぱく質のとり過ぎ」であると主張されていますが、私は動物性たんぱく質の取りすぎがアトピーを悪化させるのかどうかは、人によるのではないかと感じています。

実際、私の場合は、動物性たんぱく質をたくさんとってもアトピーが悪化することはありません。逆に動物性たんぱく質が不足すると皮膚がカサカサになる気がします。

また、アトピーを栄養療法で治す医者は、高たんぱく食を勧めてきます。皮膚を再生するためにはたくさんのたんぱく質が必要なので、毎日しっかりと肉や卵を食べたり、プロテインを飲んだりする必要がある、という理論です。

こういった、プロテインを毎日飲むなどの方法でアトピーを治している人もいますし、誰にとっても動物性たんぱく質を減らすのがよいことなのか、疑問に思います。

もしかしたら大人と子供の場合でも違うのかもしれません(子供は消化能力が未熟なので処理できるたんぱく質量が少ない)。

 

米の悪影響

現代のアトピーを治りにくく、そしてかゆみを強烈にしているのは、米にまでアレルギーの影響が及んだからです。米の場合、かゆみはもっとも強烈です

最近は糖質制限ブームなどの追い風もあり、「米は体によくない」系の本がたくさん出版されていますし、米を食べない人も多くなってきました。しかし、この本が発売された2006年当時は、米の悪影響を主張する専門家はほとんどいなかったように思います。

当時は「健康のためにはご飯と味噌汁をしっかり食べるべし」的な考えが主流でした。私は昔から米があまり好きではなかったのですが、「バランスのよい健康的な食事」を意識して健康のために無理やり食べていた感じでした。

ですが、米を食べる頻度や量を減らした方が、肌の調子はよくなるということに気づきました。特にもち米や玄米を食べると、かゆみがてきめんにひどくなる実感もあり、私は米の影響が出やすいタイプなのかもしれません。

永田先生は重症のアトピーの人には米の除去を勧めていますが、これはずっと続けなければならないわけではなく、体の免疫機能が回復してこればまた食べられるようになるとのことです。

健康的な食事をしているつもりなのに、強いかゆみに悩まされているという人は、一度試しにご飯を食べるのをやめてみるといいかもしれません。

アトピーを治す食事療法

この本のいいところは、「アトピーを治すために、何を食べ、何を避ければいいのか」ということが、重症度別、年齢別に具体的に説明されていることです。

乳児の粉ミルクのことや離乳食の与え方、小中学生の学校給食の対処法など、特に子供の食事についてとても具体的に書かれているので、アトピーの子を持つ親はとても参考になるのではないでしょうか。

ちなみに、正直に言うと、残念ながら私はこの本に書かれている食事療法だけではアトピーは治りませんでした。

そもそも、この本を読む前から植物油は体に悪いということは知っていたので、サラダ油、マヨネーズ、ドレッシング、市販のカレールーなどは全く使わない食生活をしていました。牛乳や卵も、長い間まったく食べていませんでした。

だからこの本を初めて読んだときは「こんな食事、もうとっくにやってるよ! それで治らないから苦労してるのに!!」と思いました。

Amazonのレビューを見ると、この本の通りの食事にしてアトピーが良くなったという感謝の口コミがいっぱいです(特に子どものアトピー)。

私のように何十年もアトピーをこじらせてきた大人は、植物油のほかにもいろいろな原因が複雑に絡み合っているため、なかなかこれだけで完治させるのは難しいのかもしれません。

 

アトピーの治る過程

ほとんどの医者はそんなことを教えてくれないけれど、私がとても気になっていたこと。それは「アトピーはどういう風に治っていくのか」ということです。

アトピーを治そうと頑張っているつもりなのに、アトピーはよくなったり悪くなったりして、今やってる方法が本当に正しいのか間違っているのか不安になります。

この本にはアトピーがどういう順序で治っていくのかが具体的に書かれていて、とても参考になりました。

噴き出し現象

食事改善をしていると、しばらくしてアトピーが急激に悪化して元の悪い状態に戻ることがあり、それを「噴き出し現象」と永田先生は名付けています。

これは、自分でも思い当たることがあります。何か変わったものを食べたわけでも大きなストレスを受けたわけでもないのに、一夜にしてアトピーが悪化することが時折あるのです。急に顔が腫れ、じゅくじゅく汁が出てきて、本当にびっくりします。これが「噴き出し現象」というものだと、妙に納得しました。

噴き出し現象は、よい食事改善ができて初めて出てくるもので、アトピーが治りかけている証拠だそうです。これを知っていれば、突然の悪化に慌てたり不安になることはありません。

アトピーの治る順序

皮膚の湿疹は、まず頭部や顔面に表れ、ついで胸やお腹、背中や手と腕からお尻、両脚へとしだいに広がっていきます。そして、食事療法を実行すると、皮膚炎を生じたときと同じ順序で消えていくのです。

つまり、上半身から下半身の順に、また、皮膚炎の軽い部分が早く、重い部分が遅れて治っていきます。これらの現象を見ると、血液循環のいい部分順に皮膚炎が表れたり消えたりすることがわかります。

私のアトピーの出方、治り方も確かにこの通りでした。顔、首、胸の症状がひどい時期がありましたが、今はそこには全く症状は出ておらず、残るのは手のみです。

このアトピーが治る順序というのを知っていれば、自分のアトピーが確実に治りつつあることを実感できるので、安心できます。

まとめ

やや批判的なことも書いてしまいましたが、私は決してこの本の内容を評価していないわけではありません。むしろ、アトピーの食事療法の基本を学ぶのにとてもいい本だと思っています。植物油がアトピーの大きな原因ということに異論はありませんし、植物油をやめることはアトピーを治す上で最重要課題であることは確かです。

また、この本では植物油や動物性たんぱく質を食べることを絶対禁止と言っているわけではありません。症状がよくなれば、少しずつ食べられるものが増えていき、調子が良ければトンカツだって食べていいよ、というやり方です。

あれもこれも禁止!というあまりにも厳しい食事療法なら、始める前からげんなりしてやる気がなくなってしまいます。この本では症状がよくなるにしたがっていろいろなものを食べられるようになるので、初めは食事制限がつらくても、がんばってアトピーを治そう、という気になってきます。

アトピーの大人や、アトピーの子を持つお父さんお母さんで、まだこの本を読んだことがない人は、一度読んでみて損はないと思います。